朝日新聞は令和3年6月9日付朝刊(東京本社発行)2面(総合2面)において、「『民意』に押され検察一転」と題して、菅原一秀・元経済産業相が略式起訴に至るまでの経緯について説明する記事を公表した。
リード文には「検察の判断を変えさせたのは、検察審査会という『民意』だった」と民意によって検察の判断が変わったかのような内容で記載されている。本文には検察審査会のシステムと、起訴に至るまでの経緯について記載がされている。検察審査会が審査を行うことによって、不起訴と判断された事件であっても起訴され、有罪が確定してる事例も紹介されている。
しかし、1面・2面の関連記事に目を通しても、検察審査会が11人で構成され、8人以上の同意による起訴相当・起訴議決の公表が行えることがあるのみで、検察審査会がどのように民意であるのかの記載は存在しない。
検察審査会は「検察官が被疑者(犯罪を犯した疑いがある者)を裁判にかけなかったことが正しかったかどうか」を審査する機関であり、無作為に抽出された日本国民11人の意見で物事が決まる。あくまで11人の意見であり、国民の民意とするのは難しいだろう。
今回の朝日新聞の記事で民意の記載を行うのは、検察審査会がどのように民意と関係があるのかの記載がない、それどころか国民から無作為に抽出されているということの紹介すらない以上不適切といえるのではないだろうか。
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