産経新聞は4月10日付の記事で「暴対法30年 ヤクザを追い詰めたカネ・トチ・ヒト」として暴対法の効果を示した。
産経新聞の指摘するようにデータ上の暴力団員は施行30年で3分の1以下までに減少している。中止命令で資金源が大きく制限されたのも事実だ。代理訴訟制度で組事務所が使用できないケースも当然ある。社会支援復帰も進んでいる。
しかし、本当にこれらの取り組みはヤクザを追い詰めることになったのだろうか。表向きはヤクザのすること全てを規制しつつある。それでも全国に約2万4千人の構成員(準構成員含む)が存在している。
産経新聞の記事では潜行活動や半グレとの共同活動などが新たな問題として指摘されている。堂々とヤクザとして活動できなくなったことを「追い込んだ」という評価としているのだろうが、このような地下組織化は警察当局も実際の規模を把握することは非常に困難だ。
暴対法の制定時への聞き取り調査でヤクザのトップが口をそろえて「マフィア化する」「外国のマフィアに付け入られる」と回答したとされるエピソードは有名だ。産経新聞が指摘する潜行活動はまさにこの状態となっている。
「ヤクザ」は追い詰められているかもしれないが「マフィア」として姿を変えたり、外国マフィアの構成員となってる元ヤクザもいるだろう。これで本当に「追い詰めた」のだろうか。
ヤクザが存在することへの賛否や、本当にヤクザを追い詰めたのかを暴対法施行30年となる今年は積極的に議論を交わすべきではないだろうか。
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