明治神宮の外苑の再開発を巡り、環境団体や右派団体が再考を求める事態が続いている。
争点となっているのは神宮外苑に植えられている樹木の伐採だ。1本1本崇敬の念によって植えられた樹木が当初の計画では約1000本伐採される予定であった。環境団体は環境保護の観点からこの伐採に反対し、右派系団体は「崇敬の念によって植えられた樹木」を利益至上主義に走って伐採することに反発している。
利益至上主義による外苑の再開発では、老朽化したスポーツ施設の再整備といった構想から外れ、伊藤忠商事本社ビルの再開発や宿泊施設の整備も同時におこなわれる。伝統文化の発信地としてスポーツや文化の振興に用いられるべき土地が、いとも簡単に商業利用されることはまさに利益至上主義の結果ともいえるだろう。
その一方で「中央広場の再整備」という点で賛同する声もあるのは事実だ。「宗教法人として明治神宮が土地を所有し、その工事を推進している」という意見も存在している。
しかし、明治神宮は本来「国民の神社」として内苑を政府が、外苑を国民が整備・奉献し、国家による管理・運営がなされてきた。戦後GHQが宗教法人として独立させた。宗教法人は「時の管理者」であり「本来の持ち主」ではないという点に注目するべきだ。
公益事業のみでの維持・運営は難しいのかもしれないが、利益の拡大に向かっては本来の「国民の神社」としての性格が失われることになる。
9月3日には青山二丁目交差点で再開発への再考を求める街頭演説会が予定されている。再開発に関しては「国民の神社」の性格を残し、国民の声を取り入れながら慎重におこなわれるべきではないだろうか。
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