厚生労働省社会・援護局保護課が外国人生活保護について新規の連絡事項を発信していたことが判明した。
外国人生活保護は「昭和29年通知」と呼ばれる昭和29年5月8日付の社会局長の通知に基づき外国人にも国民に対する生活保護の決定実施に準じて必要とする保護をおこなうことが規定されている。
社会・援護局関係主管課長会議資料(令和5年3月)によると、福祉事務所に来所した外国人が生活保護の窓口で不適切な対応を受けたとして都道府県弁護士会に対し人権救済申し立てを実施したという。昭和29年通知によると「不服の申し立て等を除き、国民に対する生活保護法の適用による保護と別段取扱上の差異を設けるべきではない」とされている。
このことを受け厚労省は新たな連絡事項として管内の福祉事務所に対して「生活に困窮する外国人が生活保護の申請をためらうことのないよう、生活に困窮する外国人に対する生活保護の適切な対応について引き続き周知願いたい」とする連絡事項を発信した。
外国人生活保護の支給を巡っては、平成26年に生活保護法の適用対象に永住外国人は含まれないという最高裁判所の判決が下されており、行政措置による事実上の保護対象という判断がなされている。今回の新連絡はこの「行政措置による保護対象」によるものであるとみられる。
外国人生活保護の支給を巡っては反発する意見も多く、生活保護の廃止や新規受付停止のほか、外国大使館による支援体制の拡充による代替案などが提案されている。
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