荻野・石川・澤村退団の千葉ロッテ 「ファン感情」は置き去りになっていないか
- 日章新聞
- 10月9日
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プロ野球チームの千葉ロッテマリーンズは9日までに、荻野貴司外野手・石川歩投手・澤村拓一投手ら3選手の退団と、二木康太投手ら8選手に来季契約をおこなわないことを通告したことを公表した。
荻野外野手はロッテに16年間在籍、巧みなバットコントロールと俊足でファンを魅了してきた。石川投手は12年在籍、長髪と髭をトレードマークに79勝を挙げた。澤村投手はコロナ禍の令和2年9月にトレード加入。鍛えられた肉体から発せられる剛速球を武器にメジャーリーグの世界も経験した。
3選手はファンからの人気も厚く、多くのロッテファンは3選手がロッテで限界までプレーをし、今季引退を表明した美馬学投手のように華々しい引退試合で花道を飾るものであると考えていた。
今季一軍で出場機会があったのは澤村投手のみ。全盛期に比べれば成績も落ち、上手くいかないシーズンであった。推定2億円ともされる年俸も退団の決め手になったのではないかとささやかれ、一部のファンからは「仕方がない」とため息交じりの声が聞こえてくる。
石川投手は令和5年に右肩を怪我。昨季復帰したが今季は二軍でも決して好調と言える成績を残しておらず、澤村投手と同様に退団を仕方ないとみる動きもあった。
しかし、荻野外野手は怪我で出遅れはしたものの6月に実戦復帰。二軍では3割を超える打率を残しており、一軍での出場機会がなかったことに対する批判意見が強い。
また、3選手ともシーズン終了前から引退、来季の契約に関する協議がされているとみられているが、退団が公表されたのはシーズン終了後。荻野外野手の起用方針と合わせ「お別れの場」がないことがファン感情を大きく刺激した。
プロスポーツは支えてくれるファン、スポンサー、自治体がいないと成立しない。ファンが試合会場に集まることで、チケット代や飲食代の収入が入り、ファンに認知してもらうためにスポンサーが広告費を出す。ファン感情を刺激するということは、ファンが離れることに繋がり、球団運営にも大きな支障が出る。
選手の契約は来季の戦力やチームの選手契約の予算などの兼ね合いもあり、ファン人気が高い選手でも、来季の契約は難しい場合がある。令和元年の阪神タイガース・鳥谷敬内野手がそうした例としてあげられることがある。
鳥谷内野手は荻野外野手と同様、ファン人気の高いベテラン選手だった。しかし、最後は一軍で起用される中で思うように成績を残せず、シーズン途中で退団することが公表された。シーズン最終戦では代打で打席に立ち、大勢の阪神ファンに応援歌を歌われて阪神タイガース・鳥谷敬としての最後を飾った。
荻野外野手の場合、先述したようにシーズン終了後の退団表明で、一軍公式戦への出場もなく、ファンからすれば最後に感謝を伝える時間も、場所もなかった。ファンの想いが荻野外野手へ届く機会が大きく制限されてしまった。退団の公表時期は球団の意向と思われるが、ファン感情は置き去りになっていないか、一度確認する必要がある。




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