政治団体日本第一党(本部:東京都、桜井誠党首)が、党員から集めた党費を同党の地方本部にほとんど交付していないことが、総務省に公開されている同党の収支報告書からわかった。
平成29年分の収支報告書では、1402人の党員から1080万2千円の党費が納められている。その内、地方本部に交付されたのは、大阪・京都・福岡・熊本・北海道・沖縄・島根・神奈川・長野・山口・宮城・東京・広島・静岡・長崎・愛知・徳島・鹿児島・千葉・佐賀・奈良・愛媛の22道府県本部に各10万円の計220万円で。党費からの交付率は20%だった。
平成30年分の収支報告書では、1052人の党員から1005万円の党費が納められている。その内、地方本部に交付されたのは、宮崎・岐阜・埼玉・栃木・富山・三重・群馬・茨城・京都の9府県本部に各10万円の計90万円だ。党費からの交付率は8.5%に落ち込んでいる。
令和元年分の収支報告書では、946人の党員から900万円の党費が納められている。その内、地方本部に交付されたのは、青森・新潟・石川・茨城の4県本部に各10万円の計40万円だ。党費からの交付率はわずか4.4%にまで落ちた。
これらの都道府県本部の内、交付金を二度、計20万円もらえたのは、京都・茨城だけだ。基本的に日本第一党の地方本部は多くの党員を擁していても、10万円を1度交付されるだけで、いまや党費の95%が党本部に吸い上げられる形となっている。地方本部がどれだけ頑張って党員を増やしても、交付金が党員数に比例せず1度きりの10万円では、やがて地方本部がジリ貧になり、党員がやる気を失うのは目に見えている。
単純に比較はできないが、我が国では毎年歳入・歳出の15.4%を地方交付税交付金として全国の地方自治体に交付している(令和2年度)。日本共産党は「その他の政治活動費・地方党機関への交付金」として18%を支出している(令和元年収支報告)。
地方で運動する活動家は、「運動は自分がやりたくてやっている事」と前置きした上で、「10万円で何が出来るかなんて知れています。トラメガとマイク買って、ポスティング用のチラシを印刷して、車にガソリン入れたら終わりです。組織も苦しいのかもしれないが、せめて総会を開くなりして党の予算構成と分配については説明があった方が良い」と語った。
日本第一党の桜井誠党首は、「日本第一党では統一地方選挙だけではなく、各地の地方選挙で一議席でも議席を確保して、足場を固めることを目指します。地方から少しずつ影響を拡大(する)」(平成31年1月30日)と語っていたが、こうした現実では非常に厳しいだろう。
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