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【書評】高田博行著「ヒトラー演説 熱狂の真実」を読んで

執筆者の写真: 日章新聞日章新聞

高田博行学習院大学文学部教授の「ヒトラー演説 熱狂の真実(平成26年発行・中央公論新社)」は国家社会主義ドイツ労働者党(ナチスドイツ)のヒトラー党首の演説を分析した書籍だ。

ヒトラーはキーワードとなる単語を繰り返すことで単語の重要性を高め、演説に用いていたこと、演説・映画・チラシ・ラジオなどをプロパガンダに用いていたことなど、現在の宣伝、プロパガンダにおいても共通する参考点がある。

その一方で双方の繋がりのないラジオでの演説を繰り返すことは効果が薄いとの見解も示されている。現代風いえば現場でのライブ感あふれる演説と、動画配信サイトを用いた演説では後者を繰り返すことはあまり効果がないということだろう。

過去のヒトラーについて触れた映画、特に日本国内で空耳を使ったパロディ「総統閣下シリーズ」で有名な「ヒトラー 最後の12日間」では部下に、ヒムラ―の副官、フェーゲラインの捜索を要求するシーンでは「フェーゲライン」を4回繰り返し、インパクトある演出が行われている。

このようにヒトラーの演説手法は現代にも通用する場面がある一方で、注意しなければならないポイントも明示されている書籍であった。文章内にはヒトラーについて肯定的な意見は見当たらないものの、比較的中立的な見解のみならず、ナチスの宣伝省のゲッベルス大臣の日記などを基に演説をナチス側からも分析するなど非常に参考になるものであった。

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