財務省解体デモに効果はあるのか
- 日章新聞
- 7 日前
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長年にわたる不景気や重税に不満を持つ声が「財務省解体デモ」という形で可視化されつつある。
「財務省解体デモ」は、主に参政党やれいわ新選組などの支持層を中心に、日本の経済状況の悪化の原因は財務省にあるとして、財務省の解体を主張する街頭集会である。デモの開催は、本記事のように多くの媒体で拡散されることによって、現在の経済状況や財政に不満を持つ層が可視化されるという点においては、一定の効果を持つ。
しかし、最終的な目的である「経済状況・財政の改善」をこのデモで達成することは難しい。また「財務省解体」は、最終目標を達成する上での手段として主張されているが、これも達成は難しい。
まず、「財務省解体」は仮に「財務省」という組織を解体しても財政・予算に関する省庁は国家として不可欠だ。名前を変えた「実質上の財務省」ができるのみだ。
最終的な目標である「経済状況・財政の改善」は、財務省の解体では達成できない。日本の現在の予算達成の流れは次の通りだ。
各省庁が次年度予算の見積を実施し、財務省に概算要求書を提出。財務省と各省庁で調整をした上で財務省の原案が内示される。財務省の原案を基に政府内で最終調整をおこない、閣議決定される。閣議決定された予算案が国会に提出され、衆議院・参議院の可決を経て予算が成立する。
仮に、財務省が存在しない場合、各省庁の予算要求を政府がとりまとめ、政府が閣議決定を通じて国会に予算案を提出する流れは変わらない。また、財務省を含む各省庁は、それぞれの要望をしつつも、それまでに国会で決定された政策や施策にしたがって翌年度予算の見積をおこなう。
消費税の増税なども、国会での審議を通じて承認されているのであり、政治家が増税する方針であれば、いくら財務省を減税の方向で動いても意味がない。
つまり、現在の経済状況に不満がある層は、財務省以上に増税路線を訴える政治家や、自身の企業に税金を投入しようとする政治家などに抗議をするべきだ。財務省解体デモ実施時に、財務省に出入りする一般職員は財務省上層部の意向を基に、割り振られた業務をこなしているのみであり、予算の決定権を有していない。仮に財務省の関係者に抗議するとしても、予算案を決裁するレベルの人物でないと、予算案に変化をつけることは難しい。
現在の財務省解体デモは、財務省の前で声を上げるのみで、本来の予算案の決定者である内閣や国会議員への抗議とはなっておらず、直接的な効果は薄いものとみられる。
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